唯物論(ゆいぶつろん)
materialism 精神や霊魂に実在の根本を求める唯心論や観念論に対して,すべての実在を物質の力に帰す考えをいう。そのように考える根拠に着目すると,理論的唯物論と倫理的唯物論に分けることができる。前者はさらに自然科学的唯物論と史的唯物論に区別でき,後者には快楽主義や功利主義が含まれる。唯心論や観念論がプラトン主義やキリスト教として実体化するのに伴い,その対極として確立していくことになる。代表的な唯物論者としては,物質を宇宙の根源とした古代の自然哲学者(デモクリトス,ヘラクレイトス),社会契約説を構想した政治哲学者ホッブズ,フランスの啓蒙思想家ディドロ,史的唯物論をもとに独自の経済学を構築したマルクスなどがあげられる。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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